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スペシャルインタビュー

パナソニック産機システムズ株式会社様

人材開発課 課長 山村高史様

パナソニック産機システムズ株式会社 様
パナソニック産機システムズ株式会社様は様々な業務用設備機器を施設丸ごと提供できる日本で唯一の企業。守備範囲は空調・冷蔵庫・太陽光発電など幅広くさらに店舗の企画・工事・メンテナンスをワンストップで手がけるソリューションビジネスを展開。2014年からは20年ぶりに定期採用を再開され「伝説の人事」の異名をとる人材開発課 課長の山村高史様が独自の採用戦略で成果を挙げています。山村様に採用の極意についてお話を伺いました。

伝説の人事(笑)・山村高史とは?
無名のベンチャーをいきなり人気企業にした立役者

「伝説の人事」、非常にインパクトのあるネーミングですね。どなたが名付けたんですか?
(山村様)誰だったかなぁ…?(すかさず部下から「自称です」とツッコミが入り)じゃあ、自称です(笑)。
自称だったんですね(笑)!
(山村様)自分では「伝説の人事(笑)」と書くようにしてます。だって真面目に言ったら恥ずかしいじゃないですか(笑)。しゃれですよ、しゃれ。
そうおっしゃいますが、伝説と呼ぶにふさわしい実績があるとお聞きしています。
(山村様)僕は株式会社リクルートを経て、1992年に現ELECOM株式会社の立ち上げに携わり採用戦略を任されました。世の中でこれからパソコンが流行るぞっていうタイミングでした。
今でこそ東証一部上場企業ですが、創業期の人材確保は大変だったのでは?
(山村様)バブル後半で普通じゃ人が採れない、しかもベンチャーという言葉すらなかった時でしたからね。あの手この手で採用を工夫しました。おかげさまで優秀な人材をたくさん獲得でき、新卒の人気企業ランキングでは33位まで上がったんです。
まだネットがない時代に、無名のベンチャー企業がいきなり上位に食い込んだんですね!
(山村様)普通はありえないことですよね。さらに、当時はネットがなかったので、学生が大学の就職課の壁にメモを貼って情報共有する時代だったんですけど、いろんな大学で「山村の話を聞いた方がいい」という情報が広がって。それでまた優秀な人材が集まるという好循環が作れていたんです。
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20年ぶりの定期採用 新たな伝説の始まり

その後コンサルとして活躍され、2014年にパナソニック産機システムズ株式会社に入社。再び採用を担っていらっしゃいますね。
(山村様)僕が入社するタイミングで、弊社で20年ぶりに定期採用を再開する話が持ち上がり、僕に任されることになったんです。
なぜ20年もの間、定期採用がなかったんですか?
(山村様)諸事情あって定期採用ができなかったので、今、社員の平均年齢は48歳になってしまいました。10年後にはベテラン社員が一斉に退職して、大規模な世代交代が起きます。
採用再開には御社の命運がかかっていたのですね。そのプレッシャーたるや、相当なものだったのでは?
(山村様)僕、過去30年間ダイエットで1kgも痩せなかったのに、1年目はあまりのプレッシャーに体重が17kgも落ちました(笑)。
17kgも!?
(山村様)でも悲壮感はなかったです。コンサルでは味わえなかった現場の手応えにいい意味で震えてました(笑)。弊社とは入社前からコンサルとして付き合いがありましたが、いざ当事者になると「お前やれるのか?」という注目監視の中で、前例も実績も何も無いゼロからのスタートでした。だから何としても実績を作ろうと必死でした。
1年目は特に身命を賭した採用活動だったのですね。
(山村様)その分、初めての内定式は感慨深かったですね。実は、内定式の直前に学生を集めて「すまん!俺を男にしてくれ!」と頭を下げたんです。
えっ!どうしてですか?
(山村様)当時の社内で、僕はまだ実績がなく口先だけの存在。1年目の採用予算は今の4分の1以下しかなかったんですが、内定式で学生を経営陣にお披露目する際「この予算で獲得したこの子たち、高いか安いか見てくださいよ」と勝負に出たかったんです。でも、もし内定者が経営陣をガッカリさせてしまったら、僕の居場所がなくなっちゃう。だからしっかりやってほしいと頼みました。
山村さんにとって大勝負の内定式、その結果は…?
(山村様)内定者たちは経営陣とのコミュニケーションで最高のパフォーマンスを発揮してくれてね…。「うちにこんな子たちが来るのか!」と経営陣を驚かすことができました。この日が僕の変革の1ページ目です。15・16年度で合計40名ほど採用して、入社後もみんなよくやっていますよ。一般的に新卒は3年以内に3割退職と言われますが、まだ1人も辞めてません。それに、これまで挨拶をしなかったベテラン社員が、新入社員の影響で挨拶をし始めた。そんな小さなレベルでも改革が起こっているんです。
売り手市場の今、それほど優秀な学生をどのように惹きつけたのですか?
(山村様)弊社は売上高2000億の企業ですが、学生から見ればB to Bの名もない子会社。学生に与えるインパクトが会社にはない。だったら「伝説の人事(笑)」と銘打って僕を前面に出そう、と。実際、日本中探してもこんなことができる会社はないという内容で採用展開をやっていて、大きな差別化要因になっています。
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志望動機も自己PRも聞かない、独自の採用展開「頑張ります」はいらない

「伝説の人事(笑)」の採用展開は非常にユニークだと聞きました。どんな特徴があるのでしょうか?
(山村様)僕らは新卒採用で学生を呼び出したことがないんです。あらかじめインターンシップ等で選考基準・質問の意味といった採用の手の内を全て明かし、これに対して「自分の考えや想いを伝えたい」と自信がある学生から、自主的に応募してもらってます。面接に呼ばれて質問に答えればマルだと思っている学生は求めていないんです。そんな「正解」があるような質問では、学生の本質は見抜けませんから。
学生が企業に伝える事といえば、志望動機や自己PRが定番ですが、違うのですか?
(山村様)僕らは志望動機も自己PRも聞きません。会社のことなんて働いた経験がない学生に分かるはずがないのに、志望動機を聞くのは人事としてずるいじゃないですか。それに自己PRだって、丸暗記で喋るから表情も口調も変わってしまって、作文をしゃべらせても意味がないのでは?と考えます。
では、一体何を聞いているのですか?
(山村様)大事なのは「やりがい」なんです。僕は学生が何をしたいかという根っこの部分を引き出したいんです。学生自身がやりがいを定義して、それが僕たちの働き方や価値観と合っていれば、うちに来ればいい。残念なことに、学生はすぐ「頑張ります」と言ってしまうんですよ。でも「未来の約束はいらないから、代わりに頑張れる理由を喋ってごらん」と聞くと、喋れない。テクニックとしての就活準備はしているけれど、自分の人生を充実させるキーワードのはずなのに、やりがいを上手く言葉にできないんですよね。
御社の選考に従来の就活ノウハウや綺麗事は通用しないのですね。学生からやりがいを引き出す方法とは?
(山村様)ポイントは「過去、いつ顔が輝いていた?」と聞くこと。誰でも過去1回や2回は自分の顔が輝いた瞬間ってあるはずなんですよ。なぜその時輝いていたのか、話を掘り下げていきます。だから、質問内容は学生ごとに変わってきます。自称「質問のプロ」でもあります(笑)選考に残る学生はエピソードがとてもユニークですよ。珍しいというユニークさではなく、その人らしさを語れる子たちが多いんです。
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バトンを受け取れ、伝説になれ

御社の採用活動の背景には、世代交代という喫緊の課題があります。学生にどのように伝えていますか?
(山村様)「10年後、俺たちのバトンを受け取れ」というビジョンを示しています。ただしこのバトンの重さは半端じゃない。普通の会社なら40年のエリートや勝ち残った者だけが辿り着くところに、弊社の新入社員はたった10年で半ば強制的に立たされます。だから「売上高2000億で世界戦略をやっている会社の主要メンバーに、君たちは10年で間に合うのか?」という厳しい話を包み隠さず伝えています。就職情報サイトのエントリーで約2500人が集まりますが、インターンやセミナーで厳しさをぶつけると、下手すると1割切るくらいしか残らないですね。
あまりに厳しい現実に、優秀な学生が恐れをなして離れていくのでは?
(山村様)逆ですね。「それをやってみたい」という強い学生だけが来てくれるんです。それは2つ目のビジョンとして「伝説になれ」を提示しているから。今入社して自分たちが会社を成長させれば、20〜30年後には名実ともに巨大カンパニーの経営陣となり、後輩に「こんな会社にしたのは俺たちだよ」と語る「レジェンド」になれる可能性がある。明確で、実現できる手応えがあるビジョンを示すから、本当に芯のある子たちだけが覚悟して応募してきてくれるんです。

売り手市場で採用に成功する秘訣とは?採用が「いい学生集め」になっていないか?

「伝説の人事(笑)」から見て、世の採用担当者が陥りがちな「罠」とは?
(山村様)人事の世界には「いい学生」というよく分からない言葉がありますよね(笑)。求める人材の中身を追求しないまま、「いい学生」を集めて終わり、という採用活動をしてしまう。組織が採用担当と教育担当に分かれていることも多く、これも入社後につながらない一因です。
採用担当者が「いい学生」を採ろうとして惑わされているポイントとは?
(山村様)僕は学歴重視の選考を否定しています。学歴は18歳の時の偏差値の話で、僕らが求めてるのは地頭。知識より知恵があるかを問いたい。それと、エピソードもです。学生は事実を並べるだけで、そこに本当はどんなバリューがあるかは分からないはず。でも中には美しいエピソードさえ語れば「いい学生」と勘違いして採っちゃう採用担当者もいます。僕たちがエピソードを通じて聞きたいのは、学生の中でどんな成長があったか、どんな価値観が定着したのか、ということなんです。
現在の就活は「売り手市場」で、採用担当者にとっては人材争奪戦です。採用活動を成功させるには、どうすればいいのでしょうか?
(山村様)僕がこだわっているのは、明確なビジョンを持つこと。ビジョンがあればその実現にどんな人材が必要なのかが定まり、「いい学生集め」に陥らずに済みます。世の採用担当者は、明確なビジョンがあるなら怖がらなくていいんです。正々堂々とリアルな現実を伝えれば、それに響く学生が来てくれますから。特に自分たちがブラックだとか3Kだと言ってる会社は自信を持ってほしいですね。お客さんがお金をくださっている以上、心配しなくても悪いことはしていない。胸を張って、ビジョンに共鳴する学生に正面から当たってください。

採用担当者へ。「自分以上の人は採れない」

最後に、これからの世代を担う若い人事マンにメッセージをお願いします。
(山村様)一つは、学生の人生を変えるわけだから、それに対する責任を持つことです。例えば僕が採用した15年度入社の部下は複数の大手企業の内定を蹴ってうちに来てくれましたが、僕は恐怖で鳥肌が立ちました。「10年しか一緒にいてやれないけど、この子の人生迷わせたらいけない」とね。いい学生集めの採用をして、早期退職されたら「しょうがない」で済ませるのではなく、しっかり責任を持ってください。もう一つは、自分を磨け、と言いたい。どれくらいの採用担当者が「自分以上の人は採れない」という事実に気付いているんでしょうか。学生とのファーストコンタクトで「大したことない」と思われたら、人事が会社の「蓋」になっちゃうかもしれない。採用担当者が成長を緩めたら会社の成長も止まるんです。自分磨きにこれさえやればいいなんてものはありませんが、その人なりの自己投資をして、学生の憧れになって欲しいですね。
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