内定者教育を考える上でベースになる「社会人基礎力」。経済産業省が2006年から提唱しており、「前に踏み出す力」、「考え抜く力」、「チームで働く力」の3つの能力、12の能力要素から構成されています。この社会人基礎力ですが、決して知識のインプットだけで醸成できるものではありません。そこで、今回はコミュニティを活用し、双方向のコミュニケーションを通じた能動的な学習により社会人基礎力を身につけるための内定者教育手法についてご紹介します。
内定者教育にも能動学習を
内定者教育の手法としてメジャーな通信教育やeラーニングは知識のインプットこそ可能ですが、社会人基礎力向上のベースとなる能動学習は実現が難しいと言えます。かと言って議論やグループワークのために内定者を都度呼び出してしまうと、内定者、採用担当者の双方に負荷がかかりすぎてしまいます。
そこで注目されているのがHRテックを活用した議論の場を用意する手法です。実際にグループワークをオンラインで実施することはエアリーフレッシャーズ利用企業の中では一般的な手法として、多くの企業が実践しています。同期となる内定者同士がオンラインで議論するため、お互いの人となりを知ることや、地方在住の学生が孤立感を感じにくくするなど、副次的な効果も多くあります。
内定者教育でのコミィニティ活用事例
内定者教育におけるコミュニティ活用の目的としては、前述の通り能動学習を行うための議論の場、アウトプットの場とすることが最大の目的です。早速その事例を見ていきましょう。
事例1:雑誌記事(コラム)に関する感想を投稿する
雑誌等にある著名な経営者の記事を読み、その感想を書いてもらい、他の内定者の感想に対してフィードバックのコメントを入れるということを月次で実施している事例です。自らの考えをまとめて文章としてアウトプットすることで、社会人基礎力の「チームで働く力」の要素である「発信力」を、同じく相手の意見を聴き、理解し、意見の違いや立場の違いを理解することで、「傾聴力」「柔軟性」を磨くことができます。
事例2:会社紹介資料を作成するグループワークの実施
会社理解にもつながる事例として、グループ単位でコミュニティに参加してもらい、そこで翌年の新卒採用に利用する会社紹介資料を作成するというグループワークを実施している企業があります。5名程度を1グループとするため全員に何かしらの役割があり、自ら物事に進んで取り組む力「主体性」と周囲を巻き込みながらアウトプットを出す「働きかけ力」、期限までにパワーポイント等で資料を作成することがゴールとなるため、目的を満たす成果物を期限までに確実に作成する「実行力」などを磨くことができます。