インターンシップについて、前回は今年注目が集まっている複数日程でのインターンシップ企画について紹介しました。就業体験プログラムの実施前と実施後に人事担当者が学生と接触し、的確なフィードバックを与えることで、選考参加者の獲得に効果を発揮することができます。
【前回コラム】インターンシップ日程の変化
インターンシッププログラムの見せ方にも一工夫を
採用直結型インターンシップ解禁を受け、企業は学生を集客するために趣向を凝らした様々なプログラムを提供しています。 他社と差別化するために新しい企画を検討するも、次々に新しいプログラムが生まれるものではありません。開催内容を学生集客に寄せ過ぎると、エンターテイメント性が際立ちます。事業内容や実務から乖離してしまい、結果的に自社への魅力付けや応募者獲得につながらないケースが目立ちます。
今回紹介するのは、インターンシッププログラムの「見せ方」に工夫を凝らした企業の取り組みです。インターンシップの内容は5年前から大きく変更していませんが、「見せ方」表現方法や伝え方を工夫し、学生からの人気を獲得しています。こちらの企業は、後輩に勧めたいインターンシップランキングにもランクインしています。インターン参加者の80%以上が自社の選考にエントリーしています。
インターンシップにおけるITの活用
インターンシップの中で、スマートフォンを駆使し、プログラムを進行させていくという手法です。インターンシップの中で実施しているのは以下のような取り組みです。
・当日のプログラムやタイムスケジュールを配信する
・諸連絡(トイレ・ゴミの分別・食堂・喫煙所)について配信する
・午前中の実施内容について、昼休みにアンケートを配信する
・アンケート結果を集計し、午後のプログラム開始前にフィードバックする
・グループワークで動画を作成し共有する
上記の内容を参加学生のスマートフォンへ配信し、リアルタイムで情報を伝達、また情報を収集することでインターンシッププログラムを進行していきます。これらはスマートフォンへの配信を前提とした企画ではなく、従来はホワイトボードや配布資料を用いて実施していた内容です。学生からの見え方に注目して、伝達方法を刷新した事例です。
例えば、現在ではパワーポイントを用いての説明は当たり前となっています。昔は黒板やホワイトボードに記載していました。そんな中、他社に先駆けてパワーポイントを使用した企業に対して当時の学生は「最新のテクノロジーを活用した先進企業」というイメージを抱きました。極端な例ですが、黒板にゆっくり板書しながら実施するインターンシップに今時の学生は魅力を感じません。スマートフォン世代の学生にマッチした「見せ方」が重要になります。
今までプリントアウトし配布していた内容をスマートフォンへ配信、手元ですぐ確認させる。紙で配っていたアンケートをスマートフォンへ配信し、すぐに集計結果を公表・フィードバックする。ICTの利活用により日常業務が効率化されているのと同じように、インターンシップにおいてもテクノロジーを用いた工夫が効率化を実現します。
高まる働き方改革への注目とインターンシップでのIT活用
HR業界でもHRテックに注目が集まっており、学生も働き方改革への取り組みには目を光らせています。
また最近の学生は動画に対する理解度・活用度が高く、グループワークの発表を動画で実施させることも効果的です。黒板からパワーポイント、パワーポイントから動画へと学生にとって身近な表現方法が大きく変化しています。
参加した学生に対して、先進的な取り組みを実践している企業である点をアピールすることも自社のブランド力、自社へのロイヤリティ向上には欠かせません。ITを活用し、ツールを用いた業務効率化が自社の働き方改革や業績向上に貢献していることを伝え、他社との差別化を実感させることが学生の満足度向上にもつながり、選考応募者の獲得に直結します。
他社の事例では、1人1台PCを用意し、インターンシップの内容説明や理解度確認のeラーニングを実施するといったプログラムを企画しているケースもあります。まさに今時の個別指導をインターンシップに取り入れた学生目線の取り組みといえます。上記を実践している企業では、インターン参加者の80%以上が自社への選考に参加し、半数が入社を決め、インターンシップの効果を最大化することに成功しています。
人事担当者が時間と労力をかけて企画したインターンシップ、せっかく獲得した母集団を翌年3月まで繋ぎとめるためには、インターンシップの見せ方が成功の鍵を握るといえます。しかしながら、1人1台のPCを用意することやインターンシップ専用のWebサイトやアプリケーションを提供できる企業は多くありません。
HRテックを取り入れた一歩先のインターンシップ
そこで、エアリーフレッシャーズを活用し、インターンシップ参加者限定のコミュニティサイトを提供することで、上記のようなITツールを駆使した取り組みを今時の学生に訴えることのできる施策に注目が集まっています。
インターンシップ参加者限定のサイト内で情報を配信すれば、スマートフォンアプリによるプッシュ通知を通じて抜け漏れなく確実に学生へ届けることが可能となります。アンケート機能や動画機能・eラーニング機能を活用することで、今実施しているプログラムとの融合が実現し、従来からの実施内容が最先端のプログラムとして生まれ変わります。働き方改革が注目される昨今、人事担当者にとっても学生にとっても負荷なく最大限の効果を得られる手法として、スマートフォンを用いたプログラム改革が求められています。