新入社員の育成支援ツールとして、エアリーフレッシャーズを有効活用されている雪印メグミルク様。施策の浸透、定着に至るまでのエピソードをお話いただきました。
育成担当トレーナーや課長、所属長などがアドバイスをコメント
まずはエアリーフレッシャーズの運用状況から教えてください。
内定者向けと新入社員向けの二つのシステムを利用しており、我々は新入社員向けのシステムを管理しており、弊社の一年目社員として相応しいレベルにまで育成することを主眼に活用させていただいております。
具体的には、合併前の旧組織である日本ミルクコミュニティの時代、2007年に導入した当初から今も、その目的に変わりはないのですが、OJTをより有効に機能させるためのツールと認識し、新入社員が学んだことやこれからの課題などを、オンライン上の業務レポートとして入力。それに対して、育成担当トレーナーや課長、所属長などがアドバイスをコメントするシステムとなっています。入社後に集合研修を行い、その後、現場OJTというパターンで研修を行うのが一般的ではありますが、その実態は現場に丸投げになってしまいがち。人事担当としては、それが会社の育成方針に則ったカタチで運用されているかどうか、しっかり把握する必要があります。
また、職場にOJTを委ねていると、時としてトレーナーに丸投げになり、特定の社員に負荷が掛かりすぎてしまうこともあります。それらの実態を把握、回避するために有効なツールであると考えています。
レポートを作成することでアウトプットの練習に、タイムリーに反応が返ってくるのは純粋に嬉しい
トレーナーや職場、新入社員、そして人事の方々それぞれに、どのようなメリットが生じていると思われますか。
まずトレーナーに関していえば、彼ら自身もレポートを作成する必要があるので、指導すべき業務内容を記入していくことで、自らの業務を体系的に整理するきっかけにもなっています。また、指導コメントを上司とも共有できて、マネジメント観点で指導を受けることもありますから、自己成長にも繋がります。さらに職場の方針や指導内容が“見える化”によって共有され、職場全体が同じ方向を見て進んでいくこととなります。
新入社員にとっては、SNS上でタイムリーに反応が返ってくるのは純粋に嬉しいでしょうし、頑張った結果、肯定的な評価をもらうことでモチベーションもアップしているはずです。また、レポートを作成することでアウトプットの練習にもなります。
人事サイドとしましては、一年間の育成計画を設定し、そこに弊社の実務担当者として望まれる習得度を明確に設定しているガイドラインを用意。基準を満たすために週次のPDCAを回すのがエアリーフレッシャーズであると位置づけ、活用しています。その目的を踏まえたうえで、SNS上で現場の様子がタイムリーに把握できますし、全国に散らばる100名以上の新入社員に対して地域差を感じることなく、業務レポートを通して成長を実感することができる点にメリットを感じています。
当初、存在したネガティブな意見も継続して利用するとで払拭されていった
全国に散らばる生産拠点や営業拠点に、エアリーフレッシャーズクラウドの有効性を理解・浸透させるために、ご苦労はなかったのでしょうか。
合併後、新組織になった段階で、前任者が全国各地の拠点を訪問し、職場の理解を求めてまいりました。正直申しまして、年配の役職者を中心に、当初は「普段、実際に顔を合わせているのに、わざわざSNS上でコメントを書きあう必要があるのか」などといった否定的な声も多く聞かれました。また、当時はまだ現在のように、SNSに対する認知も低く、WEB上にレポートを入力することにも馴染みが薄いという状況。抵抗感を持つ社員が少なからずいたのは確かです。合併前の旧組織においては4年、合併後4年の計8年目の運用となり、課長、所属長も含めてようやく理解が浸透してきたように思えます。
それは、何らかの成果が見られてきたことで、理解が深まったと感じていらっしゃるのでしょうか。
新入社員の成長は、目で見てはっきりと測れるものではありませんが、エアリーフレッシャーズクラウドを長く継続利用することで、それぞれの立場でそれぞれのメリットを実感し、それが浸透していった結果ではないでしょうか。例えば、比較的規模の小さな工場で課長職を担当していた管理職などは、当初頑なに「必要ない」と言っていたのですが、それが大きな工場に異動し、自らが担当する新入社員が増えたことで、「これがなくては掌握できない」と実感したといいます。また、夜勤がある現場では、どうしてもトレーナーと新入社員、あるいは役職者との間で擦れ違いが発生してしまうものです。ところがSNSを通じて常に繋がっている感覚を持つことができるので、新入社員の中で安心感が生まれます。そのような、関係者が毎日、実際に顔を合わせることができない職場では大いに力を発揮していると考えます。そもそも、私たちは顔を合わせないでSNSだけのやりとりをするよう求めているわけではなく、対面指導を補完するツールと捉えているので、それを各階層の社員に対し、しっかり伝え理解を促してきたのです。
アンケートを元に運用法を見直し現場で役立つツールとなるよう工夫
長年にわたり、エアリーフレッシャーズクラウドをご活用いただいている御社ですが、長くご利用されているからこそ工夫されている点などありましたら教えてください。
エアリーフレッシャーズクラウドの仕組みそのものは、ある程度整っていると感じていますが、あくまで利用しているのは人と人。運用面においては、毎年、年度の終わりに新入社員、およびトレーナーそれぞれにアンケートを取って、次年度に活かせるような改善を加えています。近年、よく聞かれるようになったのは、レポートの負担が大きいという声。特に、年度の後半になって、ある程度責任ある仕事を任せられるようになると、毎週のレポート入力が厳しくなるというものです。この要望を受け、下期に関しては、週1回から半月に1回入力のインターバルへと軽減。以前は週間レポートと月間レポートを別々に入力してもらっていたのですが、今年から、最終週と月末のレポートを統合し、負担を軽くしました。実は、これは新入社員だけではなく、多ければ10人以上の新入社員を担当することもある所属長からの要望でもありました。また、トレーナー同士でも情報を共有し、最適な指導方法を見つけていきたいという声もあります。ただ、どうしても個人的な内容の記述もあるものですから、どこまでオープンにすればいいのかなど、条件を整備しながら検討を進めている段階です。
今後はどのようにエアリーフレッシャーズクラウドを活用していきたいとお考えですか。その中で、私たちに期待することはございますか。
EDGEさんとは、これまでも良いお付き合いをさせていただいてきたと感じていますし、今後も運用面などでもヒントをいただきながら、これまで同様パートナーシップを維持していきたいと考えています。私たち人事としましては、SNSに関しては基本、閲覧のみというスタンスで、新入社員の育成は現場主体で進めています。人事が現場に押し付けるのではなく、現場で役立つツールとして浸透し、継続的に活用できるよう、今後も意見交換をしながら進めていきたいと思います。しかし、こうして継続使用していくことで、例えば入社時に利用していた社員がトレーナーになったり、当初からシステムに対しての理解があった中間管理職も工場長へと昇進していったりと、エアリーフレッシャーズクラウドの利点を理解している層が確実に拡大しています。それにより、組織全体にさらに広く、深く浸透していくと信じています。